2022.08.11
仕事
【自由に関する心理学・統計学】”自由”の恐ろしさを知ってますか?
今回は「影響力の武器 戦略編」で引用された「自由と制限」に関する研究論文 “LIYIN JIN et al. The Unexpected Positive Impact of Fixed Structures on Goal Completion. Journal of Consumer Research, vol. 40, no. 4, 2013, pp. 711–725.”の一部を紹介します。
あなたは「人がどういう生き物か」をちゃんと知ってますか?
紹介するのは、色んな味の読みヨーグルトを揃えているヨーグルト屋さんでスタンプカードを使った実験です。
ヨーグルトを買うごとにスタンプを1つ貰え、6個ためるとヨーグルトと交換できるというものです。
ただ、スタンプカードは2種類ありました。
①“自由”のカード:自由に好きな順番で味を選んで買って良い
②“制限”のカード:味の購入順番が決まっているからその順番で買わないといけない
じゃあ、「このスタンプ集めをやりたい!っていう人」、「スタンプを集めきる人」はどっちが多いでしょう?というのがこの実験です。
直感的には、自由のカードの方がやりたいってなるし、スタンプも集め終える人が多そうですよね?
じゃあ答えは次の図の通りです。
直感通り、”自由のカード”の方が「スタンプ集め、やりたい!」っていう人が多く、人気があり、魅力的だったことがわかります。
しかし、実際に集め終えた人数の割合は明らかに“制限のカード”の方がずっと高いのです。
※強制的に200枚ずつ配った場合の達成率の差は顕著です。
つまり、自由は一見魅力的だけど、物事を達成するには制限があった方が確率が高いことが予想されます。
自由は魅力的、だが自由の中で達成は困難の道
リモートワークの推進や働き方の自由が推進される今の時代。僕は、こういった自由化は便利でありがたく、大いに賛成なのですが、同時に不幸な企業・人を増やすだろうなと危惧しています。
それは先の研究結果の通り。
リモートワークや働き方の自由は、よほど緻密に企業側もプレーヤー側も導入・実行していかないと、多くの人は仕事の達成が難しくなると予想できます。そこまで考えたうえで企業は導入しているでしょうか?流行りだからで導入してませんか?
導入を反対しているのではなく、「ちゃんと考えて、対策してから実行しないと企業も社員も不幸になるよ!」と強く言いたいだけです。まさに自由の表面的な魅力に騙されている事例です。
人が「自由は使いこなす」には、相応の実力(自制心、目的から逆算した目標設定力)が必要なのです。
“自由の難しさ”を日常のあるあるで例えてみましょう
こんな経験ありませんか?これが自由の難しさ~日常バージョン~です。
これらの対策としては、「集団で行うサーキットトレーニング」のような既にメニューが自動的に決まったもの(制限のあるもの)の方が人は一定量のトレーニングをやりきれます。さらに「思い立ったときに行こう、時間があるときに行こう(自由)」ではなく、「事前にカレンダーにトレーニングの参加日を入れ、時が来たら行く(制限)」の方が継続もします。
結果的に、トレーニングの成果が表れる(当初の目的を達成)という訳です。
最後に
自由は魅力的。逆に制限は全然魅力的じゃない。でも、これが罠です。
このような入口部分・表面部分の魅力に惑わされることなく、達成した後に得られる魅力に目を向け、制限をうまく使いこなしてみませんか?
(tttはこのような科学的知見(今回は心理学)を組織の仕組みや皆の働き方、事業戦略に本気で応用し、結果に繋げます。)
p. s. 私はこの心理学を逆手にとって、1年半前にただのノリで通い始めたボイトレを今でもずっと続けられています。音痴から普通になりました。
常務取締役 大場
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