2026.10.16
組織
一本の電話から、すべてが始まった。 ──「今日、母を殺します」夕方のデイサース送迎直後に聞いた悲鳴
「地域最安水準で、高品質な老人ホームをつくる」
そう語ると、当時は周りの誰もが
「そんなの無理に決まってる」
「何言ってんだ、この若造」
と冷ややかに笑い、相手にもしてくれなかった。
これを吹き飛ばした”原点”は、綺麗事でも、緻密な戦略や鮮やかな逆算でもなかった。
25歳、サラリーマンだった僕が、
夕方のデイサービス送迎を終えて事務所に戻った「18時半の電話」。
そこから僕の人生のドラマは、音を立てて動き出したのです。
18時半の電話。「今から母を殺します」
当時25歳だった僕は、デイサービスの介護職員をしながら、相談員の業務を行っていました。
その日は、夕方の車での送迎を終え、18時半頃にちょうど事務所へ帰ってきた時でした。
突然、電話が鳴りました。
相手は、さっきお送りしたばかりの利用者さんの娘さんでした。
職場からかけてきているようでした。
受話器の向こうから聞こえたのは、震える声でした。
「今日、家に帰ったら母を殺します。」
聞いた瞬間、ドカンと全身から汗が噴き出し、心臓が跳ね上がりました。
僕は反射的に言っていました。
「わかりました!今からすぐ、僕がお迎えに行きます!」
さっき家へ送り届けたばかりのおばあちゃんを再び車に乗せ、ご自宅から離れたコンビニの駐車場へ向かいました。
そこで娘さんに電話をかけ、「今、連れ出しましたから安心してください」と伝えたんです。
その瞬間、受話器の向こうで娘さんが泣き崩れました。
「ありがとうございます」から先は、もう言葉になっていませんでした。
「どうしよう、なんとかしなきゃ……!」
焦る頭で、僕は言いました。
「大丈夫です。僕が今夜一晩お世話しますから、安心して休んでください」。
コンビニで弁当を2人分買い、自分のアパートへ連れて帰りました。
狭い部屋の僕のベッドにおばあちゃんを寝かせ、僕は持っていた寝袋を廊下に敷いて寝ました。
翌朝、一緒に出勤してデイサービスでケアをして、夕方「今日は大丈夫かな」と娘さんに電話すると、
「いや、今日も無理です。お願いします」と切羽詰まった声。
「よし、今日も僕の家でお世話しよう!」
上司に相談したら怒られるかもしれない。
自分のやってることが正しいかもわからない。
だけど、目の前で壊れそうな家族を捨てて帰ることなんて、僕には絶対にできませんでした。
月6万5千円の壁。糸島の空き家で始まった「7人の同居生活」
相談員の仕事をしていると、こうした切迫した声が次々と届きます。
ケアマネジャーさんから『今日預かってくれなかったらもうどうなるか分かりません』と言われ、即答で『今から迎えに行きます!』と飛び出す日々でした。
「なぜ、みんなこんなに追い詰められているんだろう?」
調べて納得しました。
有料老人ホームの費用は月15万〜20万円。安くてもかなり高額です。
一方で、安く利用できる特別養護老人ホーム(特養)は、当時は待機者が100人以上の待ちが当たり前。
「明日すぐに助けてほしい」という人は諦めるしかない状況です。
じゃあ、利用者が払える限界っていくらなんだろう?
遺族年金や国民年金だけの人だと、月々手元に入るのは6万5,000円程度。
病院代や薬代を引いたら、介護に使えるのは「月6万円」が限界でした。
「だったら、月6万円で入れる場所を僕がつくればいい!」
当時お金なんて全くなかった僕は、福岡県糸島市の古い空き家を月3万円で借りました。
一軒家で介護が必要な人をケアする「宅老所」のスタートです。
SOSの相談が来るたびに受け入れていくうちに、あっという間に5人の利用者さんと僕1人の同居生活になりました。
部屋数が足りないので、自分でカーペットやカーテンレールを買い込み、DIYでカーテンやベニヤ板を張り付けて仕切りを作っていきました。
しかし、満室状態だけど、相談の電話は止まりません。
『今満室なんです』とお断りしても、『内田さんじゃなきゃダメなんです!今日じゃないと家族が壊れるんです!』と言われる。
そうなったら、僕のスペースを空けて渡すしかない。
僕は自分の生活スペースをすべて利用者さんに譲り、「風呂場」へと移動しました。
お風呂場の蓋の上にベニヤ板を敷き、そこに布団を敷いて仮眠を取る日々。
昼はデイサービスで働き、夜は宅老所でケアをする。
365日24時間、認知症や要介護のお年寄りと一緒に過ごす生活です。
(心の声:最初は『秘密基地』みたいでちょっと楽しんでたんです。でも、友人の結婚式に出た帰り道、風呂場で寝ている自分の生活を思い出して、『俺、何やってんだろ……まともに生活もできてないや』と、悔しくて涙が出ました。)
建築費「2億円」を「5000万円」にしたカラクリ
6人の利用者さんと僕、計7人での生活は、まるで本当の家族のようでした。
けれど、夜中に僕がオムツ交換で電気をつけると、仕切りしかない部屋でみんなが目を覚ましてしまう。
「1人1部屋の個室をつくってあげなきゃダメだ!」と決意しました。
すぐに建築会社に飛び込んで相談したところ、出された見積もりは「建築費用:2億円」。
(心の声:2億!?無理無理無理!絶対払えるわけない!!)
けれど、その時ハッと気づいたんです。
「そうか!建てるお金がこんなに高いから、入居させる利用料金も高くなってたんだ!」
高い費用が発生する構造のカラクリが、初めて理解できました。
「介護施設にとって、本当に必要なものは何か?」を僕は徹底的に問い直しました。
- 過剰に豪華で広いロビーや玄関を削る
- 無駄に広い居室スペースや使われない共有部のレイアウトを見直す
無駄を一つひとつ削ぎ落とし、現場の動線を追求した結果、建築コストを他社の約1/4にまで抑えることに成功しました。
削ったコストは、すべて利用者様に還元する。
こうして完成したのが、「月額12万〜13万円(家賃・管理費・食費・ケア代・おむつ代などすべて込み)」という、
年金の範囲内で安心して最後まで暮らせる、常識破りの有料老人ホーム『たいよう』だったのです。
「業界の非常識」を連発し、働く仲間を守る
低価格の施設を作った時、周りからはこう言われました。
「安くしたって、働く職員が疲弊して辞めていくだけだ」
だからこそ、僕達は介護業界の「働き方の常識」もひっくり返しました。
介護業界では「日勤と夜勤のシフト制」が当たり前でした。
生活リズムが崩れ、体調を壊しやすい原因です。
そこでtttでは、「日勤だけの正社員」「夜勤だけの正社員」という専従の働き方を新設しました。
さらに、介護業界では最多レベルの「年間休日127日」という休日数を設定したのです。
「非常識だ」「そんな経営成り立つわけがない」
と笑われました。
ですが、建築コストを他社の半分に抑え、高い稼働率を維持する仕組みがあるからこそ、削った利益をしっかり現場に還元し、休日と待遇の両立ができる。
結果として、tttには介護人材が安定して集まるようになりました。
会社名の「ttt」は、「Thanks to Trouble(課題に感謝する)」の頭文字です。
目の前で起きるトラブルや社会の理不尽を、誰かのせいにしない。
「課題こそが、僕たちが進化し、業界を変える最高のきっかけだ」と感謝して立ち向かう。この精神こそが、私たちのすべての原点なのです。
「すべての人にやさしく・らしく・輝く」未来へ
現在、僕たちは福岡や佐賀を中心に有料老人ホームなど21施設(1,256床)、800名を超えるスタッフ規模へと成長させることができました。
あの18時半の電話から始まった僕の挑戦は、今、1,000人以上の人生を支える本物のインフラになりました。
ですが、僕たちのドラマはここからが本番です。
僕たちが掲げる事業理念は、「すべての人にやさしく・らしく・輝く」。
施設に入居したからといって、自分の人生ややりたいことを諦める必要なんてどこにもありません。
「昔通っていた美容室にもう一度行きたい」 「娘と一緒に神社へ参拝したい」
ただ管理して安全にお世話をするだけの「作業」をやめ、入居者様が諦めかけていた願いをチームで叶える『夢活』や、
日常の中に仕事や出番を作る『イキ活』を本気で動かしているのは、利用者様も現場のスタッフも、誰もが自分らしく輝く権利があるからです。
そして、僕たちがその先で見据えている最大の挑戦が「介護ゼロ計画」です。
これは、介護を社会の「重い課題」や「諦めの選択」にするのではなく、人生の「楽しみと希望」へと変える計画です。
単にお世話されるだけの介護を必要とする状態をゼロにし、高齢になっても自分の足で立ち上がり、役割を持って人生を最後まで謳歌できる社会を作る。
家族も職員も、介護という重荷から解放され、希望を持って生きられる世界を実現する。
それが僕たちの描く「介護ゼロ」の未来です。
この人類未踏の構造改革を成し遂げるために、僕たちは2032年売上100億円を目指しています。
なぜ100億円なのか。
単に会社を大きくして誇りたいわけではありません。
一企業の小さな成功で満足していては、日本の介護業界全体の古い構造や「介護=課題」という社会の常識を変えることはできないからです。
100億円というスケールと実績を持って初めて、国や社会に対して常識を覆す強烈な影響力が持てる。
僕にとって100億円とは、社会課題を根本から解決するための「挑戦権」なのです。
25歳、糸島の古民家で風呂場にベニヤ板を敷いて寝ていたあの頃。
「お金がないなら知恵を出せばいい」と泣きながら笑っていたあの熱量は、1ミリも冷めていません。
理不尽な現実に「なんとかしなきゃいけない!」と、
本気で立ち向かえる仲間を、僕達は探しています。
自分の手で誰かの人生を救い、社会の常識をひっくり返すドラマを創った姿を想像してみてください。
ワクワクしませんか?
ここから、一緒に誰も見たことがないドラマ(未来)を創りましょう。
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